「富士フイルムってカメラ作ってたの!?」
と思われているくらいカメラに詳しくない人から認知度が低い富士フイルム。
実は写真の色と画質にこだわっている、素晴らしいメーカーなんですよ。
今回は富士フイルムユーザーの私が、全ての機種の特徴と「こんな人におすすめ!」なカメラの選び方を紹介していきます。
富士フイルムのミラーレスの特徴
富士フイルムは名前の通り、フィルムの製造がメインだった会社です。
フイルムカメラ時代は写真は現像するまで出来上がりが見られませんでしたが、デジタルカメラはいつでも出来上がりが見られますよね。
そんな背景から現在のフィルムの販売数はピークの1%以下です。
代わりに富士フイルムはどこで利益を伸ばしているかと言うと、フイルム製造で生かしたノウハウで医療関係や化粧品などの分野を急速に伸ばしています。
最近は医療関係のCMも多いですよね。
本題からずれたので戻ります。
カメラにおける富士フイルムはかなりこだわりを全面に出したカメラ作りをしています。
日本のカメラ市場ではいまいちパッとしない(むしろあまり知られていない)ですが、海外、特にアジアでは圧倒的なシェアを誇っています。
クラシックカメラのオマージュ
昔ながらのカメラのレトロなデザインや大きさを非常に大事にしていて、カメラ上部にダイアルを何個も配置しています。
最近の他のメーカーのカメラは背面のボタンで殆ど完結するのでかなり異質です。
この操作感が好きな方にはたまらないでしょう。(一部背面でも設定できます)
特にライカへのリスペクト
個人的にはライカをかなり意識されていると思います。
カメラもライカの佇まいに近いカメラをいくつか作っていますし、レンズもそのデザインに似合う形のものを作っていたりします。
極め付けはパナソニックの様にライカとライセンス契約している訳でも無いのに、ライカ用のレンズを富士フイルムのカメラでも使えるようにする部品(マウントアダプターといいます)を純正で販売しています。
撮れる画質はみんな同じ ※X-Aシリーズ、X-T100は除く
富士フイルムは同じ世代のカメラなら、センサーや画像処理のエンジンが同じなので基本的には同じ画質の写真が撮れるのが特徴です。
※X-AシリーズとX-T100はセンサーが違うので除く
どこで差別化しているかというと、主に使い勝手の部分で、
- 防塵・防滴仕様か
- 液晶が可動するか
- 液晶がタッチパネルか
- ボディの剛性
- 動画のLog撮影が出来るか
などから自分の撮影スタイルに合ったカメラを選ぶことになります。
撮れる写真の画質でカメラをクラス分けをしない、実にフィルムメーカーらしい考え方と言えますね。
富士フイルムは「色」が違う
フィルムメーカーですから、撮った写真の「画質」と「色」に相当なこだわりがあります。
抽象的な表現ですが「この写真、なんかいいね!」をうまく数値化する。
何気なく撮った写真がお気に入りの写真になる、それが富士フイルムです。
もちろん好みもありますが、私は富士フイルムの「色」が好きです。
フィルムシミュレーションがすごい
すごくざっくり説明すると撮れる写真の色調などを変える機能です。
他のメーカーにも似たような機能はありますが(キヤノンのピクチャースタイルなど)
富士フイルム独自の点としては、往年のフィルムの色合いをデジタルカメラで表現している点です。
かなり繊細な表現の違いですが、モノクロ写真を入れて現在は14種類もあります。
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ファームウェアの更新が神
他のカメラメーカーでは致命的なバグでも無い限り、カメラの性能を引き上げるファームウェアのバージョンアップは行いません。
富士フイルムは後継機が出た後も更新しますし、普通にエントリークラスのカメラでもやります。最高かよ。
その分レンズを買ってくれって事でしょうか。
この点だけでも富士フイルムというメーカーの姿勢に共感できますよね。
富士フイルムのオートフォーカスは遅い?
ピントを被写体に合わせる為のオートフォーカスの速さは、カメラの中に入っているイメージセンサーと言われる部品の性能とレンズの中に入っているモーターで決まります。
現行機種の中でも最新のセンサーを積んだX-T3やX-T30では他のメーカーにも負けないオートフォーカス性能を誇りますが、それ以外の機種では見劣りするかも…。
既に使っている富士ユーザーに聞くよりもご自分で実際に触ってみて判断して貰った方が良いかも知れません。
サードパーティー製のレンズが少ないし純正レンズは結構いいお値段
怒涛の富士推しの文章を書いてしまったので一つデメリットを。
他のメーカーと比較してシグマやタムロンといった純正以外のサードパーティー製のレンズが少ないです。
あったとしてもオートフォーカス出来なかったり…。
それでも純正のレンズの中からお求めやすいものがあれば良いのですが、俗に言う安くて写りの良い単焦点レンズ、「撒き餌レンズ」は存在しません。
ただ、レンズの性能はすべて「本気レンズ」と言って良い性能を持っています。
特徴まとめ
あえて自動車に例えてみましょう。
例えばパナソニックが日産のセレナの様に自動運転を搭載していかに運転者がラクできるものを作るかに重点を置いているとします。
富士フイルムはポルシェの911の様に昔ながらの伝統を大事にしつつ、新しい事にも挑戦しながら、運転する楽しさやエンジンやマフラーからの音など車としての本質の部分にこだわって作っているとも言えます。
ぶれない、媚びない。それが富士フイルム。
富士フイルムのミラーレスの選び方について
現在、富士フイルムにはコンパクトデジカメを含めて11もの機種があります。
そこでカメラの選び方をフローチャートにまとめてました。
まず富士フイルムのミラーレスの大きな違いはセンサーの大きさの違いです。
GFXシリーズは始めてカメラを使う方にはさすがに気に入っても金銭的に厳しいかも…。
そこでそれ以外のカメラから選ぶのが一般的になりますが、富士フイルムの世界に足を踏み入れる覚悟があるならX-T20やX-T30、レンズ交換式のカメラを買う覚悟は無いけどオールマイティなカメラが欲しい!という方にはX100Fをオススメしたい。
それでも予算的にちょっと厳しい!という方はX-T100やX-A5、コンデジのXF10の3種類の中から選ぶと良いでしょう。
富士フイルムのミラーレス機種の一覧
定価が高い順にカメラを更に詳しく紹介していきます。
GFX 100
このカメラも紹介しちゃう?ってレベルのカメラですが。
他のカメラ違って映像素子(イメージセンサーという)の面積が4倍もある中判と言われるカメラです。
上の写真を見ればいかに中判のセンサーが大きいかが分かりますね。
センサーが4倍大きいから画質が4倍きれいな訳ではありませんが、メリットは無限大。
その分、今までの中判カメラはとても持ち歩いて使おうなんて思わないくらいの大きさでしたが、ミラーレスとなって普通の一眼レフ並みの大きさになりました。
先にGFX50S、GFX50Rが発売されましたが、
- 1億万画素
- 強力な手振れ補正
- 像面位相差AF(簡単に言うとオートフォーカスが速い)
を搭載したモンスターな1台。
GFX100はこんな人におすすめ
- 風景写真など高画素機が欲しい方
- 最高の画質を最高のオートフォーカスで撮りたい方
- お金に余裕のある方
- 大きくプリントしたい方
価格も価格なのでなかなか手が出ませんが、機材に妥協したくない方には最適な1台かも。
GFX 50S
GFX50SはGFX100には劣る部分もありますが、写りに関しては個人で使う分には全く問題ありません、というかすごい写り。
動きものを撮影する訳でなければGFX50Sでも幸せになれるでしょう。
最近はお値段も下がってきて中古ならフルサイズミラーレスの最上位機種を買える価格くらいまで下がってきました。
GFX50Sはこんな人におすすめ!
- 写真を大きくプリントしたい方
- お金がある方
- 一眼レフタイプの中判デジタルカメラが欲しい方
画素数も他のXシリーズの倍以上ありますので、大きくプリントすると違いが明らか。
1台あると幸せになれます(たぶん)
GFX50R
GFX50Sの性能はそのままに、(中判として考えれば)小型・軽量・低価格に仕上げたカメラです。
フルサイズ一眼レフと同等レベルの大きさなので、もし中判が欲しいとなった時に今一番選択肢に入るのではないでしょうか(それでも高いけど)
GFX50Rはこんな人におすすめ!
- 出来るだけ軽くて小さくて低価格な中判が欲しい方
- 画質にこだわる方
レンジファインダー型なので一眼レフタイプのGFX50Sよりも威圧感も無いのが良いですね。
X-H1
現在、最新の機能と性能を持ったXシリーズのカメラです。
最大の特徴はまだ他の機種にはない「5軸ボディ内手振れ補正」が搭載されている事。
上の動画を見て貰えば良く分かりますが、とても強力な手振れ補正が効きます。
動画を撮るのはもちろんですが、手振れ補正が付いていないレンズで写真を撮る時にも効果絶大です。
他にも
- 液晶ファインダーが従来よりも画素数が3割アップしていて更にキレイ
- 大型のグリップで大きなレンズを付けても持ちやすくなった
- 背面液晶がタッチパネルに対応
と今までのフラッグシップ機の一角、X-T2よりさらに機能性が高まっています。
撮れる写真は今まで発売されているX-Pro2 / X-T2 / X-T20 / X-E3 とセンサーが同じですのでほぼ同じと言って良いでしょう。
また、ボディは上の4つの機種よりも大きく重くなり、一眼レフに近くなりますのでそこが許容できるかが購入のポイントになりそうです。
X-H1はこんな人におすすめ!
- 手が大きくて重いカメラが気にならない方
- 手振れが少ない動画を撮りたい、作品を作りたい方
- 手振れ補正の無いレンズをメインに使いたい方
実際に触ってみてフィーリングが合えば間違いなく買いでしょう。
X-Pro3
ミラーレス一眼って基本的にファインダーが液晶なんですが、このカメラだけは光学ファインダーと液晶ファインダーの両方の機能を兼ね揃えています。
ライカに代表されるレンジファインダーというカメラの形を強襲しながらも、最先端の技術を詰め込んでいます。形から弁当箱とも言わてれますね。
X-Pro2という1つ前の機種でも十分な性能と完成度を誇るカメラでしたが、X-Pro3では更にフィルムカメラの様に背面の液晶を隠したり撮影する楽しさを更に進化させたカメラです。
X-Pro3はこんな人におすすめ!
- カメラの見た目に一目惚れしちゃった人
- 純粋に撮る楽しみを追求したい人
実際に触ってみるとイメージしていたよりもちょっと大きいのがX-Pro3。
そのギャップにも負けず買える方が晴れてX-Pro3になります。
特に見た目にピンとこなかったら次のX-T2やX-T3を迷わず買いましょう。
X-T3
富士フイルムは以前からオートフォーカスが他社より遅い、と言われていたのも今は昔。
2018年現在、富士フイルムで最新のセンサーを積んでいて最も動態撮影に強いのがX-T3です。
他のメーカーのミラーレス一眼と比較しても同等、もしくはそれ以上と言っても差し支えないレベルにまでなりました。
X-Pro2と同じく防塵・防滴・対低温仕様でどこにでも持っていけるのも特徴です。
素人目にはこちらの方が「Pro」っぽいと思うんですが、あくまでも富士フイルムにとっては解釈が違うのでしょう。こだわりを感じます。
X-T3はこんな人におすすめ!
- どこにでも持って行ける安心感のあるカメラが欲しい方
- 縦構図をファインダーよりモニターで撮る事が多い方
とにかく天候に関係なく持ち歩く事が出来るのがこのカメラの魅力。
また、X-T3は縦にも液晶モニターが可動するのでポートレートを撮る方には最適ですよ。
ちなみに型落ちになったX-T2もまだまだ魅力的なカメラです。
とにかく高速なオートフォーカスにこだわらなければこちらもオススメ!
X-T30
発売は2019年3月とまだ発表されたばかりのX-T30。
防塵・防滴などの機能やカスタマイズ性では劣りますが、X-T3の性能をほぼそのまま受け継ぎつつ小型化した良いとこ取りのカメラ。
個人的には一番おすすめしたいカメラになります。
初めて富士フイルムのミラーレスを購入して写真を楽しみたい方はX-T30を購入しておけば間違いありません。
また、今なら型落ちになるX-T20が値落ちしていてすごくお得になってます。
新しい機能やピント合わせがとにかく速くないと困るわけでなければX-T20を検討するのも良いでしょう。
X-T30はこんな人におすすめ!
- 子どもの写真を良く撮る方
- 一眼レフっぽいカメラの中から出来るだけ小さいモノが欲しい方
子どもを連れていても疲れない大きさと重さはすごく大事。
安心感よりコンパクトさを重視するなら断然X-T3よりX-T30がおすすめです。
X-E3
X-Pro2みたいな形が好きだけど予算的に厳しいし、もう少し小さいカメラが…という方にはこちら。
コンパクトで軽くても性能はや写りはX-Pro2やX-T2と同じというのがポイント。
他のメーカーなら小さい機種はエントリー機種と決まっていますが、X-E3は上位機種と引けを取りません。
X-E3はこんな人におすすめ!
- カメラの形が気に入った方
- 多少の不便には目を瞑れる方
- 出来るだけ小さくておしゃれなカメラが欲し方
X-Eシリーズは液晶モニターが可動しませんので、ローアングルの撮影の時に少し大変です。
ですが小さいけど高性能、高画質なカメラが欲しいなら絶対このカメラです。
X-T20と比較して見た目が気に入ってお金の都合が付くならX-E3でしょう。
X-A5
他の富士フイルムのカメラとは少し路線が違うカメラで、海外製、ファインダーが無く、富士フイルムのミラーレスで唯一自撮りの出来るカメラです。
マニアックな話をすると映像素子(センサー)が若干違うんですが、そこは富士フイルム、「色」は全く問題なし。
ちなみにこのカメラのキットレンズだけ安価でプラスチック素材のレンズなんですが、侮ることなかれ、意外にも写りが良いんです。
しかも自撮りしやすい様に結構広角までカバーしています。さすが富士フイルム。
追記:先日、さらに初心者に優しいカメラにX-A5が発売されました!新しくコンパクトなキットレンズがついてさらに使い勝手が向上していますよ!
X-A5はこんな人におすすめ!
- 自撮りがしたい方
- 富士フイルムが欲しいけど出来るだけ安く欲しい方
- ちょっと変わったカメラが欲しい方
基本的に富士フイルムのカメラはちょっと高めの価格設定です。
それでもこのカメラなら初心者の方でもまだ手が届く金額なのではないでしょうか。
X-T100
こちらのX-T100もX-A5と同様に他の機種とはセンサーサイズが異なりますが、写りに妥協はありません。
X-T100はファインダーが搭載されているので、X-A5よりもう少し本格的にカメラを始めてみたいと思っている方向けになります。
また、液晶が180度可動して自撮りをすることも可能なのも嬉しい所。
まだ発売したばかりなので若干割高ですが、時間が経てば富士フイルムのスタンダードモデルとして人気が出るのではないでしょうか。
X-T100はこんな人におすすめ!
- 自撮りがしたい方
- でもファインダーを覗いて写真も撮りたい方
- レトロな外観のカメラが欲しい方
- これからカメラを始めようと思っている方
富士フイルムで唯一、自撮りできるファインダー付きのカメラになります。
他の上位機種と比較すると操作系が結構異なります。
もしカメラに慣れたら上位機種に乗り換える気がある方は、X-T100よりも上位機種(X-T20など)を選択した方が幸せになれるかも知れません。
番外編:X100F
正確にはミラーレス一眼ではないですが、ミラーレスのレンズ固定式カメラみたいなものなので一応。
X100Fはコンデジですが、他のXシリーズのミラーレス一眼と同じセンサーを搭載していて、同等の写りが得られるんです!
ただレンズの描写はとても柔らかく、独特な写り方をしますし、デジタルテレコンと言われる画角を変えて写真を撮る機能もあるので思っているより便利です。
▼デジタルテレコンについてはこちらで詳しく書いています▼
富士フイルムX70を後継機が出るまで我慢出来ずに買った3つの理由
しかもコンデジなので被写体に寄る事が出来るので結構オールマイティに使えます。
見た目も高級感がありオシャレでコンパクト、言う事なし。
X100Fはこんな人におすすめ!
- 後からレンズ買い足すのがイヤな方
- おしゃれなカメラが欲しい方
固定式なので新しくレンズを買い足す必要がないので経済的です。
問題はコンデジと考えるとちょっと値段が高いかな~と。
おまけ:富士フイルムのミラーレスにおすすめのレンズ
富士フイルムのキットズームレンズは優秀で、とても写りが良いのですが単焦点レンズのラインナップがすごい事でも定評があります。
レンズは2016年下半期に値上げした影響で、最安値が5万円以下の単焦点レンズって4本しか無いのでカメラ始めたての方にはハードルが高いのも事実なんですけどね…。
なので5万円前後のレンズでおすすめしていきます!
F2三兄弟
軽量でコンパクト、オートフォーカスもそこそこ早くて防塵・防滴がついた、形が同じシリーズレンズで、3つある(XF23mm F2 R WR、XF35mm F2 R WR、XF50mm F2 R WR)ので勝手にF2三兄弟と命名します。
この中から自分の好きな画角を選べば良いです。
どのレンズもとにかくシャープに写りって、お値段以上の価値あるレンズになります。
ちなみにX-PRO2やX-E2との相性が抜群です(見た目的に)
XF 35mm F2 R WRが届いたので試しに雨の中で撮影してみた
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XF35mm F1.4 R
上で紹介したXF35mm F2 R WRと比較してF値が小さいので、背景がよりボケますが、少し値段が高い、という単純な話では無く、こちらはかなり個性的な写真が撮れます。
ほぼしゅ~的にはこのレンズで撮れる写真が大好き。
富士フイルムを使っている方でこの画角を良く使う方には、どちらを購入するか悩ましい問題でもあります。
もし、単焦点レンズはこの先も1つしか購入しない!と決めているなら、こちらのレンズをおすすめしたいかな。
XF35mmはF1.4とF2どっちを選ぶべき?買う前に知るべき6つのポイントまとめ
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ほぼしゅふ的まとめ
富士フイルムはシェアでは他のメーカーに負けていますが、写りに関しては負けていません。
オシャレなカメラで写真を撮りたいならまずは富士フイルムのカメラを検討してほしい。
絶対にカメラを持ち歩くのが楽しくなるから。
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