ついにX-T4が発表されました。
今富士フイルムが作れる最高に本気なカメラを出してきたという印象ですが、従来の機種とはいくつか違っている部分もあるので自分の使い方に合うのか注意する必要がありそうです。
この記事ではX-T4になって変化した点をX-T3と比較しながらX-T4を買うべきか、これから安くなるであろうX-T3を買うべきかまとめました。
X-T4の進化したポイント
- ボディ内手振れ補正+電子手振れ補正の追加
- バリアングルモニターへの変更
- 新しいフィルムシミュレーションの追加
- 操作類の変更
- バッテリーの変更
- シャッター周りの改善
- 背面ディスプレイの向上
他にもありますがハード面での変更はこんな感じ。
プロフェッショナルに使って貰えることを考慮しながら、動画制作を行うユーザーの為の機種に仕上げてきた印象です。
ボディ内手振れ補正+電子ジンバルの追加
今まで富士フイルムではX-H1にしか搭載されていなかったボディ内手振れ補正が追加されます。
特にボディ内手振れ補正による恩恵が大きい動画撮影はもちろんですが、写真撮影の際にも暗い場所などシャッタースピードを遅くしたい場面でも手振れしにくくなるのはメリットしかありません。
かなりの割合(18本)で6.5段、最低でもXF80mmの5段の手振れ補正はX-H1よりも強力。
電子ジンバルは既にX-T200で採用されていますが、動画の撮影時にボディ内手振れ補正と合わせて効果が期待できます。
メモ
電子手振れ補正使用時は画角がクロップ(周辺の画像が切り取られる)されるので注意
さらにさらに!電子ジンバルを使用しなくてもブレ防止ブーストモードを使えば手持ちでもかなり強力に手振れを防止できそう。
バリアングルモニター
バリアングルモニターも上位機種では初めて搭載されます。
バリアングルのメリットはモニターを回転させることや自撮りが出来ることと、モニターを隠すことが出来ること。
対してデメリットはモニターの角度を調整したい時には常に光軸からずれた位置で撮影しなければいけないことです。
動画制作で自撮りをするYouTuberにはバリアングルの方が需要がありますが、写真撮影がメインのユーザーには従来のチルトモニターの方が使いやすいと思っている方も多いでしょうから(私もその1人です)好みが分かれる所。
フィルムシミュレーション「エテルナブリーチバイパス」「クラシックネガ」の追加
X-Pro3、X100Vに搭載される「クラシックネガ」と新しいフィルムシミュレーション「エテルナブリーチバイパス」が追加されます。
注目はなんといってもエテルナブリーチバイパス。
左がエテルナブリーチバイパス 右がエテルナ
彩度は低く抑えられつつもコントラストのある仕上がりの絵は、フィルム時代から多くの写真家や映像作家に支持されていた”銀残し”のフィルム現像技法を忠実に再現。表現の選択肢を更に広げます。画質設定の「ハイライトトーン」と「シャドウトーン」をプラス側に、「カラー」をマイナス側に設定すると、銀を多く残したような風合いを再現できます。
エテルナの軟調な表現にコントラスト強めの表現がプラスされることで新しい動画表現に繋がりそうです。
操作ボタンの細かい変更
軍艦部のファンクションボタンが移動した以外はほぼ同じ場所にボタンが配置されています。
しかし背面部の
AE-Lボタン→AFONボタン(今までのAF-Lボタン)
AF-Lボタン→Qボタン
Qボタン→AE-Lボタン
と変更されています。
またダイアル部分の測光ダイアルがスチルとムービーの切換えダイアルに変更されたことで動画と静止画を瞬時に切り替えることが可能。
動画専用のメニュー画面とQメニューも設けることで、動画撮影がしやすくなりました。
今までは静止画のついでに動画機能が付属していた印象ですが、X-T4からはその場でどちらも使いたいプロのニーズを反映されている様に感じます。
バッテリーが変更され持ちが良くなる
富士フイルムユーザーがずっと不満に思っていたバッテリーの持ちが悪い問題。
ついにX-T4から新しいバッテリーNP-W235が搭載されました。
X-T3の390枚から500枚へと約3割増えました※通常撮影枚数
バッテリーの容量が1.5倍になったのならもう少し撮影できても良い気がしますが、手振れ補正ユニットなどでバッテリーが消費するのかも知れませんね。
メカシャッターの変更
新開発の高トルクコアレスDCモーターによって従来の11コマ/秒から15コマ/秒へと進化したことで動きものを撮影する方には更に快適になりました。
メモ
電子シャッターならより高速でシャッターが切れるけど動きがある被写体だと「ローリングシャッター歪み」といって歪んで写ってしまうことがあるのでメカシャッターが望ましい(ソニーのα9など一部カメラでは改善されています)
更にシャッターユニットの耐久性が大幅に改善され30万回まで可能になりシャッター音も静かになったとのこと。
背面ディスプレイの向上
今までの104万ドットのディスプレイからX-Pro3やX100Vと同じ162万ドットに変更されました。
このディスプレイ、本当にキレイで撮った写真を確認する時にテンションが上がります。
これは手放しで喜んで良いポイントですね。
その他
他にも機能面では
- 位相差AFの速度が0.06秒から0.02秒と高速に※ブーストモード使用時
- 追尾の成功率はX-T3と比べて2倍に
- フルHD撮影時に240pのスローモーション撮影が可能に
- 同じ動画を2枚のSDカードにそれぞれ記録可能に
なりました。
動画ユーザーの事を考えながら基本性能もアップしているのはとても評価できます。
X-T3と変わらないところ、X-T3の方が良いところ
センサーと画像処理エンジンは同じ
X-Trans CMOS 4のセンサーと画像処理エンジンX-Processor 4はX-T3も同じものを使っています。
センサーと画像処理エンジンが同じということは多少の味付けが違ったとしても撮れる写真は基本的に同じ。
これは余談ですが、このタイミングで同じセンサーを使うということはあと1年くらいは新しいセンサーを積んだカメラは出ないかもしれませんね。
X-T3の方が小さくて軽い
X-T3の539gに対してX-T4は607gと約60gの増量になります。
バッテリー容量が大きくなったこと、ボディ内手振れ補正が搭載されたことを考えると軽いですが(X-H1は673g)60gは結構な差。
買い換えなら大きく重くなることを覚悟した方が良いでしょう。
同時に発売キャンペーンも実施します
予約宣言登録をして製品登録をした方に専用バッテリーチャージャーが届きます。
バッテリーが変更されることで今までの充電器は使えないですから嬉しいですが、充電器なんて付属品として付けておいてUHS-ⅡのSDカードでも付けてくれた方が嬉しいんじゃないかな。
また、同時にレンズを購入して製品登録することで
- XF200mm F2 R LM OIS WR→10万円
- XF8-16㎜F2.8 R LM WR→5万円
- XF100-400㎜ F4.5-5.6 R LM OIS WR→5万円
- XF16-55㎜ F2.8 R LM WR→3万円
- XF50-140㎜ F2.8 R LM OIS WR→3万円
とレッドバッチのレンズがキャッシュバックされます。
X-T4とX-T3を比較してみる
お知らせ
外観の比較はあとで追記します
X-T4 | X-T3 | |
有効画素数 | 約2610万画素 | 約2610万画素 |
大きさ | (幅)134.6mm (高さ)92.8mm (奥行き)63.8mm | (幅)132.5mm (高さ)92.8mm (奥行き)58.8mm |
重さ(バッテリー、カード含む) | 約607g | 約539g |
EVF フレームレート | 369万ドット、有機EL | 369万ドット、有機EL |
モニター | 162万ドット | 104万ドット |
ISO感度 | ISO160~12800(1/3ステップ) 拡張感度 ISO80/100/125/25600/51200 | ISO160~12800(1/3ステップ) 拡張感度 ISO80/100/125/25600/51200 |
手振れ補正 | ボディ内手振れ補正あり | レンズの手振れ補正のみ |
起動時間 | 約0.39秒 | 約0.3秒 |
露出補正 | -5.0EV~+5.0EV | -5.0EV~+5.0EV |
連写 | 15コマ/秒(メカシャッター) 30コマ/秒(1600万画素) | 11コマ/秒(メカシャッター) 30コマ/秒(1600万画素) |
動画 | 4K(4096×2160)59.94P Full HD (1920×1080) 240p | 4K(4096×2160)59.94P Full HD (1920×1080) 120p |
入出力端子 | USB Type-C(USB3.2 Gen1x1) HDMIマイクロ端子(Type D) ø3.5mmステレオミニジャック(マイク用) ※ヘッドホンはUSB-Cでアダプターを使って対応可能 | USB Type-C(USB3.1 Gen1) HDMIマイクロ端子(Type D) ø3.5mmステレオミニジャック(マイク用) ø3.5mmステレオミニジャック(ヘッドホン用) |
その他 | ・クラシックネガ | ・3軸チルトディスプレイ |
重さや起動時間、バリアングルディスプレイが許容できるならX-T4を買っておけば間違いないですね。
ただ、X-T3も既に完成度の高いカメラなのでこちらで十分に満足できる方も多いんじゃないでしょうか。
細かい所ですが転送速度のが速いUSB3.2に変更されているのも、カメラメーカーの中でも先んじて採用している富士フイルムらしさを感じます。
X-T4を買ったら幸せになれる人は?
X-T4はこんな方におすすめ
- 強力なボディ内手振れ補正が欲しい人
- 動画を撮る人で作品に幅を広げたい人
- 動画で自撮りをする人
- 新しいフィルムシミュレーションが欲しい人
- 動きの激しい被写体を撮る人
最近α7RⅢを使って実感していますがボディ内手振れ補正ってやっぱりあるとラクなんですよね。
(α7RⅢのボディ内手振れ補正はそこまで強力じゃないのを差し引いても)
ちょっとした定点撮影の動画なら手持ちでも手振れが気になりませんし、写真撮影の時にもレンズ関係なく手振れを防止してくれますので失敗が少なくなりますから後から家で見返したら微ブレしてて泣くことも少なくなりました。
X-H1よりも軽くなることで持ち運びの負担も減りますのでそれだけで買い。
動画とスチル両方とも使っていきたい方にとってはX-T4は心強い相棒となってくれそうです。
X-T3で十分に幸せになれちゃう人は?
X-T3で幸せになれる人
- 写真がメインで動画も自撮りはしない人
- バリアングルが嫌いな人
- ボディ内手振れ補正を我慢できる人
- 出来るだけカメラへの投資を抑えたい人
- 軽いカメラの方が良い人
- 新しいフィルムシミュレーション気にならないよって人
センサーも画像処理もX-T4と同じですから無理して最新機種を買う必要もない人も居ると思います。
ボディ内手振れ補正についても
- 三脚での撮影が多い方
- 手振れ補正付きレンズをメインに使う方
- 動画撮影時にジンバルを使って撮影する方
にとっては必ずしも必要ではありません(あれば便利なのは間違いありませんが)
バリアングルのディスプレイについても角度を調整したいときには光軸からずれて好みが分かれる所。
また、新しいフィルムシミュレーションについてもRAW現像をする方で撮って出しと完全に同じ色であることに拘らなければ使うこともできますから絶対に必要でなければX-T3でも十分楽しめるんですよね。
▼参考記事▼
※記事はX-Pro2で使えないエテルナを使う方法ですがやり方は同じです
そして型落ち扱いになりますからこれから価格の下落も期待できます。
ほぼしゅふ的まとめ
個人的には1年半という短いスパンで新型機を発表するスタイルはユーザーとしてどうなの?と思いますが、富士フイルムの中でも売れ筋のカメラですし他のメーカーとの競争力を上げる為にも仕方ないのかなぁと思ってます。
使い勝手の部分ではかなり変わっていますし、センサーや画像処理エンジンは同等ですから無理して買い替える必要はないのでは?というのが正直な所。
X-T3にもファームウェアアップデートで恩恵があるはずですから、動画をメインに使う人や手振れ補正がどうしても欲しい人以外は実機を触ってみてから判断しても良いんじゃないかな。