神レンズと呼ばれるものが多い富士フイルムのXFレンズのですが、イマイチ人気のないXF18mm F2 R。
とはいえ決して写りが悪い訳ではなく、それ以外の部分で敬遠されていて実に惜しいレンズだなと感じます。
XF18mm F2 Rを9か月ほど使ってみた感想(良い所悪い所)と作例を交えてまとめましたので参考になれば幸いです。
XF18mm F2 Rについて
XF18mm F2 R | |
価格.com最安値(2019年6月現在) | ¥54,680 |
重さ | 約116g |
最大径×長さ | 64.5x40.6 mm |
最短撮影距離 | 18cm |
最大撮影倍率 | 0.14倍 |
とにかくコンパクトなレンズで軽くて被写体に寄れるレンズのXF18mm F2 R。
もうそれだけで価値があるレンズですし、私の場合は富士フイルムのコンデジ「X70」を使っていたのでその後釜としても期待して購入しました。
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世界で最もポピュラーな画角
このレンズのフルサイズ換算27mm付近という画角は世界で最も多くの人に使われています。
そう、スマートフォンで使われている多くのレンズがこの画角なんですよね。
目で見えているものは大抵写る広さがありながら、極端なパースが付きにくいので記録写真でも記憶写真でもこれで済むから多くのメーカーで採用されているのかも知れません。
パースとは?
遠近感が付くこと、パースが付くと近くのものがより大きく写って遠くのものがより小さく写る
一眼においてはフルサイズ換算50mm付近を「標準レンズ」と呼びますが、現代においてはこの画角を標準レンズといっても差し支えないかも知れません。
XF18mm F2 Rの作例
子どもと遊びながら狭い空間でも写真が撮れるので広角レンズは重宝してます(iPhoneで良い気もするけど…)
スナップので使う画角としてはフルサイズ換算35mmのレンズ(富士フイルムだと23mm付近)が王道ですが、それよりも広く撮りたいという方にはこのクセのない画角が活躍します。
とはいえ広く写りすぎて散漫な写真になりやすいので、上の2枚の写真のようにトリミングをして構図を整えたりするのも有効な手段。
大きい建築物の全体を撮り切るにはもう少し広角なレンズが欲しい所ですが、その分面白い写真が撮れます。
スローシャッターたのしい。
テーブルフォトは中望遠を使うのが一番ですが、ググっと被写体に寄ることで撮ることは可能です。
ただ広角特有の歪みがあったり、被写体に近づき過ぎて影が出来てしまうのであまり向いてません。
XF18mm F2 Rの良い所
XF18mm F2 Rについては富士フイルムのXシリーズ最初のレンズ3本の内の1本ということもあり、富士フイルムがXシリーズで実現したい設計者の思いなどを忠実に体現したレンズだと思ってます。
なので個人的にはこのレンズについて悪い印象はありません。
やはり小さくて軽いは正義
116gという軽さは一般的なスマートフォンよりも軽いので持ち出しに苦労することはありません。
普段500g以上の重さのレンズを常用している方ならレンズが付いてないと錯覚するほど。
カメラを首掛けていても子どもの頭にゴチンとぶつける心配も少ないコンパクトさも嬉しい。
X-E3やX-Aシリーズなど、コンパクトなカメラには特に相性が良いですね。
ほどよい解像感とやさしいボケ味
最近のレンズはすごく解像するレンズも多いですよね。
このレンズはピントが合った所はしっかり解像しながらもカリカリしすぎない感じ。
また、優しいボケ味と相まって私のように子どもを近距離から撮る機会が多い人にも最適なので使ってみて欲しいですね。
逆光耐性も結構ある(フードなしでも)
上の写真は極端な例ですが、普段フードなしで使っていてもフレアやゴーストに悩まされることは殆どありません。
優秀なレンズと言っていいでしょう。
オートフォーカスの速度は十分速い(同じ画角のX70やXF10と比較して)
普段X-Pro2に装着して使っていますが、オートフォーカスが遅いと感じた事はあまりありません(富士フイルムユーザー基準で)
以前使っていたX70では子どもを撮るのに難儀していたので、それに比べれば実用的です。
私がよく使っている他のレンズと比較するとXF16-55mm F2.8 R LM WRには劣るけどXF56mm F1.2 Rよりは少し速いかなって感じ。
XF18mm F2 R周の画質、周辺の写りは甘いのか?
このレンズ、周辺の写りが甘いとネットで見かけます、
確かに等倍などで拡大してみてみるとF8に絞っても周辺はちょっと甘い印象です。
星景写真をメインに撮るなら(F2とかF2.8とかで撮ると思うので)気になるかも知れませんが、個人的に使用する分には中央の写りはとても優秀なのであまり気にしてないですね。
広角特有の周辺での樽型の歪みは多少ありますので、被写体によっては気を付けましょう。
XF18mm F2 Rのイマイチな所
このレンズは写り以外の部分で不満がある人が多いかも知れません。
純正のキャップがすぐ外れる(レンズキャップ、フード用のキャップ共に)
レンズに付属して付いてくるレンズキャップがとにかくちょっとした衝撃などで外れます(ついでにいうとフード用のキャップも)
あまりにもそういう声が届いたのか最近ではXF18mmに対応した新型のレンズキャップも発売されていますので、もし失くしたら次は新型を購入しましょう。
オートフォーカス駆動音が大きい
全群繰り出し式という、レンズが全て動く構造でとにかくピントを合わせようとした時の音がうるさいです。
あまり静かな場所で使うには気を使うレンズですし、音が入り込むので動画撮影にもあまり向いていないので購入前には注意が必要です。
値段が高め
新品で5万円以上と良い値段のするレンズなので、購入するには少し躊躇するんじゃないでしょうか。
レンズ | 価格.com 最安値 |
XF14mm F2.8 R | ¥75,580 |
XF16mm F1.4 R WR | ¥103,643 |
XF16mm F2.8 R WR | ¥44,816 |
XF18mm F2 R | ¥54,860 |
XF 23mm F1.4 R | ¥87,530 |
XF 23mm F2 R WR | ¥42,700 |
XF27mm F2.8 | ¥42,391 |
XF18 F2 Rを購入する時に検討するであろうレンズの価格を並べてみました。
最も広角であるXF14mm F2.8 Rや大口径レンズであるXF16mm F1.4 R WR やXF23mm F1.4 Rが高額になるのはしょうがないとしても、その3つのレンズの次に高額なレンズになるんですよね。
防塵・防滴仕様も付いていないのにこの価格か…と思うと他のレンズを購入する人が居ても不思議ではありません。
その代わり、中古なら3万円くらいから状態のよいレンズも見つかりますので選択肢に入るんじゃないかな。
XF18mm F2 Rを使いこなす為に
世界で一番使われている画角と書きましたが、世界で一番使いやすい画角という訳ではありません。
良い写真というのは「人に伝わる写真」だと私は思っていますが、とにかく良い写真を撮ろうとすると途端に難易度が上がる画角というのがこのレンズを使っていると分かります。
広角すぎないクセのない画角なんですが、逆に言うと「写真を見た人に強い印象を与えづらい」画角でもあるんです。
人に伝わる写真を撮ることを前提に考えると色々工夫が必要だと思ってます。
無駄なものを写さない
目で見たものが殆ど写る画角なので、何も考えないで撮ると写ってほしくないものまで写ることも。
必要ないものをフレームから排除して写真をシンプルにすることを心掛けてます。
とにかく目に見えるものを引いて引いて引きまくる「引き算の思考」が大事。
メインの被写体は出来るだけ真ん中付近に配置する
広角レンズの特徴として真ん中に比べて周りに被写体を置くと歪みやすいという特徴があります。
XF18mmはそこまで完璧に補正されたレンズではないので多少の歪曲が見られます。
メインの被写体は真ん中付近に配置するのがおすすめ。
XF18mm F2 Rをおすすめする人は?
このレンズをおすすめする人
- 手が離れられないお子さんを近距離から撮りたい人
- iPhoneで撮れる様な写真をさらに高画質で撮りたい人
- クセのない広角で風景やスナップで楽しみたい人
- 出来るだけ小さくて軽くて寄れるレンズが欲しい人
私みたいに子どもを近距離で撮りたい&子供3人を写真に収めたい方にはこのレンズは役立ちます。
iPhoneでも画角が近いので同じような写真が撮れますが、やっぱり比較すると全然違うのでなかなか手放せません。
出来るだけ薄いレンズが欲しいとなった時に検討してほしいレンズですね。
ほぼしゅふ的まとめ
純正の広角レンズは他にも
- 防塵防滴でコンパクトなXF16 F2.8 R WR
- 防塵防滴、寄れる、背景ボケも楽しめる神レンズXF16mm F1.4 R WR
- 歪みなしの写りが気持ち良いXF14mm F2.8 R
と楽しめるレンズがあるので悩むんですよね。
それに比べるとXF18mm F2 Rはイマイチ人気がないのが悲しい。
使ってみると小さくて軽いので撮影するのが楽しくなりますし、写りも良いので満足出来るんですけどね…(AFの音以外は)
まだこのレンズを使いこなせてるとは思っていませんが、これからも気軽に撮影したいけどiPhoneでっていう気分じゃない時に持ち出していきます。