100mm付近のレンズには銘玉が多い。
85mmや135mmはポートレートレンズ、90mmや100mmではマクロレンズが良く見る印象でしょうか。
どれも解像力の高いレンズが多い中望遠に位置しますが「Carl Zeiss Makro-Planar T* 2/100 ZF」もまた高い解像力と立体感を写し切るレンズになります。
やっと持ち出す機会があったのでいくつか撮った写真と共に感想でも書いていきます。
購入した理由とか
たまたまレンズを物色していたらとてもリーズナブルなMakro-Planar T* 2/100 ZFの美品を発見してしまったのが運の尽き。
箱がなかったりフロントキャップがなぜかNikon(笑)だったりしたからでしょうか。
私はリセールバリューをまず最初に気にする人なので「これは手放した時に実質お金貰えるな」と思って気付いたら手元にありました。
正直いうと初めて触った時からすごい写りするけど重いな!という印象が強く私が手に入れることはないだろうな、と思っていたレンズですから不思議な縁ですね。
外観など
製造は日本のコシナ。
金属銅鏡のクオリティの高さはいつもながら素晴らしい。
ちなみにこのレンズは現在では廃盤になっていてMilvus 2/100Mがその後継に当たります。
デジタルで使うならコーティングが一新されたMilvusの方が優れているかも知れませんが私はこのクラシックな外観が断然好みですね。
Fマウントに装着する分にはそこまで大きく感じないのかも知れませんが、私が現在使用しているα7RⅢの場合はご覧の通りフランジバックの関係からかなり長いレンズに錯覚します。
これは様々なレンズを装着できるミラーレスならではですが、どうしてもレンズヘビーになりやすいのが難点。
フードを付けてマクロ撮影でレンズを繰り出すと超望遠レンズのようにさらに巨大な姿に。
無限遠から最短撮影距離にピントが合うまでフォーカスリングを約2回転する必要がありますが、マクロ域での撮影は繊細なピント合わせが必要ですからこれで問題ないでしょう。
フォーカスリングを回す時の感触もぬるっとして素晴らしいのでマニュアルフォーカスでも使いやすいです。
レンズ自体は660gとそこそこの重さですが、私の場合はマウントアダプターやクイックリリースプレートを装着するのですべて合わせると1570gとヘビー級の重さに。
書いていて気づきましたがニコンの一眼レフD850に装着するのと100gくらいしか変わらない…
その代わりLM-EA7というアダプターを使うことでAFが使えるメリットもあるのですが。
私の中では持ち出すのを試されるレンズですね、小さい子どもと一緒に居る時には厳しいかな。
作例(α7RⅢにて撮影)
初めて撮った時の写真たちですがその描写に度肝を抜かれたのを覚えています。
絞り解放で接写するとピント面はかなり浅く、ボケもとろけるという表現がしっくりきます。
何より撮ったあとに大きい画面で見た時のピントの合っている場所のキレが凄まじいの一言。
絞り解放からそんな感じで圧倒的な写りをしてくれるので写真が撮るのが楽しい。
ちなみに背景との距離が中途半端だと4枚目のようなざわついたボケ方をする時もありますが、どうやらプラナー全般で見られる傾向の様ですね。
ハーフマクロという特性を持っていますが本レンズは「寄ることも出来る中望遠レンズ」としてメインで使うことでその真価が発揮されるのではないでしょうか。
被写体の質感、その場の空気感を写真に閉じ込めて撮影者が想像している以上の「作品」として昇華してくれる。
ファインダーから覗いた構図をこれでもかと描き切ることが出来るレンズはそうありません。
スナップやポートレートでもその立体感のある写りと、シャープでありながら硬くなりすぎないという一見すると相反するような写りを実現しています。
カリカリしすぎないと言えば良いでしょうか。
紫陽花を撮ってもどこか艶めかしさを感じさせます。
ツァイスのレンズはどれも良いお値段がしますが、使ってみれば購入する事を悩んでいたのが恥ずかしくなるくらい虜になりますので1度使ってみることをおすすめしたいですね。
Makro Planar T* 2/50と比べて
私はもう1つのマクロプラナーであるMakro Planar T* 2/50も所有しています。
描写傾向は同じプラナーですから近い写りですが、比べると若干Makro-Planar T* 2/100の方が解像するかな。
このレベルまで行くと殆ど気になるほどの差ではありませんけどね。
どちらも明るい場所でパープルフリンジが発生しますが絞ると改善するのも同等。
50mmの方がやはりコンパクトで画角的にも使いやすく万能な感じで、100mmの方が長くて重いけど焦点距離が長い分(絞り値が同じでも)ボケがとろけて被写体に寄った時にも殆ど歪まないといった感じで無理矢理使い分けられるかな。
ほぼしゅふ的まとめ
持ち出せば期待以上の素晴らしい写りを見せてくれるレンズ。
私にとってはその持ち出すハードルがまだちょっと高いかなって時もありますが、こどもの手が離れれば離れるほど活躍してくれるのを期待してます。